第020回 ヨーロッパ州 : 気候、地形、そして、 民族問題
地理的分野 第020回 ヨーロッパ州:気候、地形、そして、民族問題
・気候と地形
ユーラシア大陸の西の端に位置するヨーロッパは、
日本より高緯度の地域が多いのですが、比較的温暖な気候です。
その理由を考えてみましょう。
高緯度地域は、勉強したように寒いはずですよね。
ヨーロッパの場合、北大西洋海流(暖流)と偏西風が
比較的暖かい気候にしているのです。
とはいっても、北に向かって寒くなります。
地中海は温暖な気候ですが、北極海に向かっていけば、
緯度は高くなりますが、気温は低くなります。
思いだしましたか。
内陸部は、年間の気温差が大きくなるので、
各都市の雨温図を見極めるときのひとつの目安になるでしょう。
もちろん、都市の位置を知っていなければ、覚えておかないと、
意味がないですよ。
今度は、ヨーロッパ南部をみてみましょう。
何がありますか。地図帳、開いていますか。
アルプス山脈をみつけてください。
この地域は、高低差の大きい地形が特徴ですから、覚えておいてください。
では、ヨーロッパ北部をみてみましょう。
ここには、フィヨルドがあります。
フィヨルド、氷河によってつくられた複雑な地形のことです。
ヨーロッパ中央の平野部では、ライン川がゆっくり流れ、
水量も多いです。この川は大きいため、水運にも使われています。
・たくさんの小さな国々
日本より小さな面積の国が多いヨーロッパ。
でも、ロシア連邦は広いですよ。
さて、日本の国土の面積は覚えていますか。
そうです、38万㎢。
それより狭いというのですから、GDPも期待できないですよね。
人口はというと、やはり、少ないです。
ちなみに人口が1千万人未満の小さな国々もたくさんあります。
小さな国同士の対立が民族問題、そして、紛争につながったりしています。
小さな国だけあって、植民地をたくさん従えていた国もありましたね。
でも、20世紀の大きな世界大戦を機に、
植民地の多くが独立していきました。
ヨーロッパは、2回も戦場になりましたから。
力が弱まって当然ですよね。
・農業
地球海沿岸部は、地中海式農業が営まれています。
この地域は、夏が乾燥していて、高温。
冬は温暖で雨が多いのがこの地域の気候の特徴です。
オリーブ、小麦の栽培と羊ややぎの飼育、かんがい施設を利用したオレンジの栽培も
さかんになってきました。
ヨーロッパ北西部や東部では、
穀物栽培(小麦やライ麦)と家畜(豚)の飼育を合わせた
『混合農業』が中心でしたが、最近は、穀物栽培または、
家畜を専門にする農家が増えています。
ヨーロッパ北部やアルプス地方はどうでしょうか。
アルプスの少女ハイジを思いだしましょう。
まず、気候は、冷涼ですね。高緯度地域ですから。
さて、冷涼といえば…酪農。
牛の最適温度は、7℃ですから。
酪農が発達するのは、当たり前ですね。
ヨーロッパの人々がよく食べるもの。
① 小麦製品(パンやパスタやピザ)
② じゃがいも
③ 肉類
④ 乳製品(バターやチーズ)
・近代工業
世界に先がけて近代工業が発展したヨーロッパ。
そう、産業革命がイギリスでありました。
近代工業の発展の中心地は、イギリス、フランス、ドイツです。
大都市ロンドン、パリは人口密度も高くなっています。
ただ、20世紀以降は、アメリカの台頭により、ヨーロッパ経済は下降気味です。
そこで、ヨーロッパは、国を越えた統合を目指したのです。
現在のEU(ヨーロッパ連合)ですね。これが、地域統合です。
ヨーロッパ各国の地位や技術を共有することにより、
世界経済におけるヨーロッパの地位を向上させる
一つの手段だったのです。
これから、そのヨーロッパの地域統合が行われたことにより、
どのように変化していったのか考えてみましょう。